ここまで同じ公演を何回も観たいと思ったことは、あまりない。
それだけ、今回の公演は充実したものだったのだと思う。
では、場面ごとに。
★第一景
●プロローグA-1「桜ノ宮橋」
天女たちの美しいこと。
また、その天女たちを優しく見つめる鳳凰たちの凛々しいこと。
舞台装置も豪華で、上に架かった橋が迫力あっていい。
昨年の秋のおどりでもそうだったけど、若木さんの歌がプロローグ最初で流れると、
舞台が一気に華やかになる。
「大阪松竹のOSK観ているんだな~」感があって、とても良い。私だけかもしれないが。
最初のシーンで、橋の上には大貴さんが立っていて、堂々とした立ち姿を見せてくれた。
さあ大貴さんはこれからどんな舞を魅せてくれるのか・・・と思っていると、
そのまま盆が回ってさようなら~~~。
・・・・
ええええええええええ (´д`;)
せっかく美味しい場所にいるのに、それだけっスか。アクションなしっスか。
しかも、その代わりに出てきたせり上がり桜花さんが美味しすぎる。
大貴さんをもっと見たいというファンからすると、不満な場面かもしれないが、
この場面に今回の公演の意味が込められているように感じた。
トップスターとして大貴さんは中心に存在しているが、
ひたすら大貴さんを立てるのではなく、劇団員みんなを立てる雰囲気。
そして、大貴さんが劇団員たちを橋の上から温かく見守っている雰囲気。
これからのOSKのことを想う大貴さんの器のでっかさを感じさせられる。
緊張感が漂う中に、柔らかさと温かさが感じられる、
まさに春らしいオープニングだったと思う。
●プロローグA-2 「桜ノ宮橋」
美味しいトコ取りの桜花さん。
やっぱり、盆回りでのせり上がりは美味しい。
「これからのOSKは、このメンバーで頑張っていくからね~!」という決意表明の場面か。
要は、『世代交代』というものを実感した場面。
●プロローグB 「水晶橋」
大貴さんが第1部主題歌「橋よ、橋」を歌う。
「♪橋よ橋~ 橋は呼ぶぅ~~♪」
この曲を歌っている時の、しみじみとした微笑を浮かべる大貴さんの表情にきゅんとなる。
この曲、メロディは切ないけど、すごく前向きでじんわり心が温かくなる歌詞だ。
今でも時々、昼食前などに頭をぐるぐる回っている。
「♪箸よ箸~ 箸は呼ぶぅ~~♪」
その後、大貴さん中心に町人の男役たちが粋に・・・ていうか、かなりポップに踊る。
腕を組んで裏返すような振りが多くて、コレがなんだか面白い。
お笑いコンビの「キャイ~ン」みたいで。
キャイ~ン踊りということで。
ちなみに、一番のツボは
大貴さんが片膝ついて左手を上手上空に差し出しながら
少しずつ前進していく「大志を抱け」ステップ。
●プロローグC 「戎橋」
ぞろぞろと他の町人たちも出てきて、舞台と客席で踊り歌う。
ここのほのぼのとした音楽も大好き。
客席降りは、毎回少しずつメンバーが変わっていたようだ。
ちなみに、私は金曜日夜の目の前での楊さんチョップと、
日曜日夜の斜め前での桜花節全開な舞が印象的。
緋波さんや爽加さんも近くに来たことがあって、幸せだった。
早足で舞台へ去っていく劇団員さんたちも素敵(笑)
★第二景 「相合橋」
高世さんと若木さんのラブラブ相合傘シーン。
2人とも、とても可愛らしい。
そして、やっぱり高世さんの透き通った歌声が大好きだと改めて思った。
一見軽い男に見えるけど、芯が通っているしっかり者の兄ちゃんって感じで、
高世さんのキャラは、私としてはかなりツボヒットです。
「この橋で 貴女と出逢い~♪・・・」
「あなたと2人 寄り添って 相合傘~♪」(うろ覚え)
・・・・・・。
めっちゃ恋してえええええ。
何故か、猛烈に恋したくなった。
今までどれだけラブラブな芝居を観ても、恋したいと思ったことがほとんどない、この私が。
すごいよ。高世若木カップル。
「もうっ」と怒りながら高世さんを払うような振りをする若木さんが可愛すぎてツボ。
★第三景 「末吉橋」
町人の子どもたちが、数え歌(曲名わからない)を歌う。
昔なつかしの情景という雰囲気があって、観ていて穏やかでゆったりとした気持ちになる。
前回の秋のおどりでの「堀江の盆踊り」もそうだったが、
OSK和物ショーでの昔なつかし物は、躍動感溢れて刺激的というものではないし、
同じ動きや音楽が繰り返されるし、正直飽きやすくてだれるような内容だ。
でも、観ていて飽きないし、ずっと心地よい空気が流れ続けている。
自分が経験した懐かしさではないのに、何故か懐かしく感じ、愛しく感じてしまう。
ノスタルジーの魔力だ。
昔なつかしシリーズは、これからも続けてほしい。
どの子どもたちも可愛らしい様子だったが、中でも爽加さんの可愛さはダントツだった。
姿も振る舞いも歌声も可愛らしい。
子どもチームの中で、一番の年長者で、リーダーのはずなのに、
それを感じさせない新鮮で不思議なオーラがある。
すごい。
★第四景 「梅の橋」
恐らく、いろんなところで語りつくされている名シーンなので、私が書くことはないのだが。
(まだいろんなところのレビュー見てない)
梅の橋(こころ)は、自分だけ橋の読み方が「ばし」ではなく「はし」であることを嘆き悲しみ、
更に太左衛門橋(緋波)と淀屋橋(貴城)に馬鹿にされる。
とそこへ、『冬のソナタ』テーマソングと共に颯爽と一人の橋が参上して、
梅の橋に優しく声をかける。
彼の名は? そう、
『鶴橋 つるはし つるはし つるはし』 (エコー with口パク)
とにかく、
桐生さん、貴城さん、緋波さん、こころちゃん。
ぐ っ じ ょ ぶ 。
息がピッタリで、最高。 ラップで橋の名前を言っていく歌も面白い。
毎回いろんなアドリブを繰り出す、その柔軟な技術には感動した。
特に、この場面では桐生鶴橋。
ある時は、泣きじゃくる梅ちゃんに爽やかにこいのぼりを渡す鶴橋兄貴だったり、
ある時は、いつもの白マフラーではなくド派手カラフルマフラーをしてくる鶴橋兄やんだったり。
そして、
アドリブで暴走しまくる2人を温かく見つめ、支える貴城さんと緋波さんの存在も素晴らしい。
暴走してグダグダにならずに、最終的に場面がきっちりまとまって締まっているのは、
やはりこの2人の存在があるからこそ。
この4人組の場面。
今回の和物ショーの中では特に光っていたと思う。いろんな意味で。
毎回、公演を観に来た人たちの心を鷲掴みにして離さなかったのは、アッパレ。
「せんきゅーっ」
★第五景 「徳庵橋」
陸やら海やらで、粋なにぃちゃんねぇちゃんたちが楽しく明るく歌って踊る場面。
あまりに楽しそうなので、こちらも一緒に踊りたくなってしまう。
要は、陸側と海側との野崎詣り対決(?)のようだ。
対決っていうやり方は面白い。上手に作ったものだと思う。
ひょっとしたら、今回の和物ショーの中でこの景が一番好きかも。
それにしても、対決だからか非常に盛り上がっていた。
あんまり盛り上がるもんで、最初は
これでもう第一部が終わってしまうのではないかと思った。
大貴親分を囲む兄ちゃん姉ちゃんたちが温かい雰囲気で、ほのぼのさせられた。
桜花さんと高世さんのコントラストは、やっぱり面白い。
そして、2、3コンビが大貴さんに棒をパスするところなんか、妙に感動してしまった。
対決していても、根底には熱い友情が通っているっていう雰囲気で、
見ているこっちもヒートアップだ。
この場面を観ながら、粋な男たちの友情程、見ていて気持ちのいいものはないと、
心の中で断言したものだ。
ツボは、歌詞「ケンカで勝負~♪」の時の力こぶをつくって桐生さんに見せる折原さん。
「私も腕っ節は伊達じゃなくってよ!!」的な折原姉御が素敵だ。
そりゃあもう、折原さんが本気を出したらものすごいでしょうよ。
しかし、直後に桐生さんに軽くあしらわれてしまう(笑)
あと、雨が降った時の貴城さんの豪快な走りっぷりと千両箱を持った泥棒と
千秋楽前日の夜の部で見た、鶴橋・颯爽と橋を渡るの巻がとってもツボだった。
(↑この時の微笑みが、何とも爽やかで素敵だった。絶対に歯が光っていた)
ちなみに、前景から五景にかけての桐生さんと緋波さんの早着替えが、地味に素敵。
あと、布を使って娘役さんたちが2人組みになって踊るシーンで、
こころちゃんとことりさんが意地になって布を取り合っているようすがめっちゃ可愛らしかった。
★第六景 「長柄橋」
楽しかった野崎詣りが終わって、みんな家路に着く。のだが、
その中で桜花さんと北原さんだけが橋の上に残り、愛を確かめ合う。
ところが、そこに桜花さんを想う朝香さんがやってきて魔の三角関係勃発。
朝香さんが桜花さんの腰刀(かな?)を抜き、それを振り回して
桜花さんやら北原さんやらを無茶苦茶に斬りつけようとする。
そして、最後には桜花さんをかばった北原さんが死んでしまうというストーリー。
まさに、修羅場というものが展開されるわけだが。
このシーンは、とにかく、朝香さんの狂気が全て。
最後、刺してからしばらく呆然として、その後ゆっくりにやりと微笑み、
「 う ふ ふ ふ ふ ふ ・ ・ ・ ・ 」
とふらふら花道を去っていく朝香さんは、非常に怖かった。
最初観た時には、夢に出てくるんじゃないかと怯えた(TдT)
そして、桜花さんが悲しみ暮れる中、
最後の最後で「るるる~~♪」としんみり美しく歌う折原さん。
本当に、切なすぎる。
歌が短すぎて。
北原さんが事切れた後、
「たまえぇ~~~!」(激しくうろ覚え)と叫ぶ桜花さんだが、
あんまり熱が入っていないように感じた。(桜花比)
ここは、桜花節全開で、
「たまぁええええええええ!!!!!」ぐらいいくかと思ってたので、
ちょっと不発気味で不満。
でも、これくらいのさじ加減が一般的にはちょうどいいのかもしれないが。
何だかんだ言って、桜花節がお好きなようですね。私。(驚愕)
★第七景 「天神橋」
再び、橋トリオが幕前に出てきて、淀屋の旦那から町人橋の豆知識を教わる。
とそこへ、再び『冬ソナ』テーマソングが流れる。
鶴橋が颯爽と登場するものの、他の橋たちに
『鶴橋 つるはし つるは(以下略)』のエコーと橋ラップを披露され、
美味しいとこ取りをされてしまう。
このシーンでは、こころ梅ちゃんが大活躍。というか、桐生さんと共にアドリブ大暴走。
男前梅ちゃんに変身して、毎回鶴橋様をいじめ倒す。
私が観た中で特に凄かったのが、4月21日土曜の夜と、22日日曜の夜。
土曜のやり取りは、
梅「邪魔さらすんかい!!だっさい傘差しおってからに!!」
鶴「梅ちゃんっ!?」
梅「私なんか、桜パラソルやで~♪」(桜パラソルくるくる)
鶴「それを出されては、負けるしかないじゃないか・・・」
そうですよね。ある意味、反則技です。
いつかやるだろうとは思ってましたが。
そして、日曜の方は、
梅「そんな暑っ苦しいマフラーなんかしおってからに。冷え性か!!」
レインボー鶴「冷え性ではないっ!
それに、どちらかというと、暑苦しいのは私の顔だっ!!!」
2人とも、言っちゃったよ・・・・・ ○| ̄|_
しかも、鶴橋さんは自爆ですやん。
それにしても、毎回たくさん笑わせてもらいましたよ。
男前梅ちゃんに対して言う鶴橋兄さんの
「梅ちゃん・・・。変わってしまったんだな・・・」は、妙に切ないものがありました。
本当にたくましくなられて・・・。
一体、第四景から第七景までの間に、彼女に何が起こったのか。
★第八景 「四ツ橋」
獅子たちによる、勇ましい髪振り。
この場面、凄まじい迫力だ。
髪の毛、3キロくらいあるんですよね。それ以上かな。
とにかく、トップ3人ともすごい。
最初のすっぽんせり上がりの大貴さんの美しい姿。
両手に持っている赤と白の牡丹が、その美しさを更に際立たせる。
そして、まっすぐ前を見つめる眼差し。かっこ良すぎる。
髪を振った時のみんなの猛々しさに、圧倒される。
振った髪と、その軌跡の美しいこと。
皆さん、本当に美しくて猛々しい獅子でした。
その回りを舞う胡蝶たちも、ふわりふわりと華やかで美しい姿。
その柔らかい華と硬い強さの対比が、内に秘めた強さや温かさを見事に表していた。
前髪をゆさゆさーと振る様子に、獅子を感じて感動した。
あと、前の方に座った時に、その動きの時に桜花さんの顔面が目の前だったのだが、
般若の顔のように厳つい顔で、白目剥き気味だったので、とても怖ろしかった。
今でも鮮明に覚えている(滝汗)
そして、高世さんたちの頭振りの速さに、必死で追いつこうとする大貴さんに感動した。
★第九景 「八百八橋」
前回の秋のおどりでもあった、歌謡曲メドレー。
やっぱり、メドレーは軽快でいい。曲の構成も良かったように思う。
最初の〔A〕で、橋四人組が橋ラップをサザエさん行進をしながら軽快に歌う。
次の〔B〕では、水無月さんが大上留利子「心斎橋に星が降る」を歌う。
周りで舞う娘役さんたちの手の振りのバッテンが可愛らしい。
〔C〕は、若手男役衆がやってきて、その中の爽加さんが朝香さんとことりさんに声をかけるが惨敗。
というか、2人と仲良く手をつないでやって来た楊さんに対して、
爽加さんがニコニコ笑いながらノリノリで顔を殴るわけだけど、
穏やかじゃねーなー(汗)
ニコニコ~~って笑いながら羽交い絞めされている楊さんに近づいて・・・・、
顔面殴るんかよっ!!
結構やること過激ッスね。
そりゃ女の子に振られるよ。
どんまい。爽加さん。
そして、〔D〕では高世さんによる円広志の「ハートスランプ二人ぼっち」!!
この曲は探偵ナイトスクープのテーマソング!!
ものすごく大好き。
透き通った高世さんの歌でこの曲を聴くと・・・・、
なんだか円さんが歌っているよりも甘くていい感じなんですけど。
甘めだけど、すっきりしていて、後味がよろしい。
桜花さんの場面〔E〕『月のあかり』。
さっぱりきっぱりな桜花節が心地よかった。
周りの娘役さんと男役さんとの別れを感じさせるような踊りのやり取りが切ない。
あと、途中から桜花さんと組む朝香さんの無表情な感じがいい。
無表情の中に、感情がこもっている。
そして、ガラスのような透明で繊細な雰囲気を醸し出していて、胸がきゅんとなる。
朝香さんは、巧みな表現者だと思った。
あと、やっぱり桜花さんの最後の歌詞、
「この街を出て行く だけだよおおおぉぉぉぉ↓↓」のところの熱唱フェードアウトがいい。
(↑しかし、うろ覚え)
ちなみに、曲名は一部たまみさんの『桐生市民会館』の八百八橋曲メモを
参考にさせてもらいました。
更に詳しい情報は、4月15日(日)の日報に書かれてあります。
たまみさん、ありがとうございます!!
ていうか、途中高世さんのシーンで、
梅ちゃんと貴城淀やんがいい仲になっちゃっているんですけど。
淀やんに取られちゃったのね。鶴橋の兄やん・・・・・
★フィナーレ
ラテン系の曲に合わせて、扇子を持って舞う、華やかなフィナーレ。
五景のように、勢い凄まじくノリノリだぜーーー☆というものではないけれど、
楽しく明るい雰囲気。
爽やかで潔い終わり。
曲のテンポや踊りや全体的な勢い雰囲気など、少しフェードアウト気味なので
終わりにはちょうど良い。
とても理想的な和物ショーのフィナーレだと強く思う。
全体的には、やっぱり橋の使い方が効果的だったと思う。
あとは、音楽に魅力的なものが多かった。
そしてどの曲も、場面によって効果的に使われていた。
例えば、場面終わりの曲の節や、場面と場面を繋ぐような歌や曲にしても、
どれも違和感がなく、世界観を崩すようなこともなく、
前の余韻に浸りつつ次のシーンに気持ちを向けることができた。
ちなみに、私は3、7、8、11列目あたりに座っていたけど、
7列目の真ん中がベストポジションだった。
今回は群舞が多かったし、いろんなところで見所があったから、少し後ろの方が楽しめた。
3列目は時々美味しいことはあったけど、一番初めだったということもあり、
いろいろ観ようとして疲れてしまい、観劇後少々モヤモヤしていた。
以下、和物ショーで感じた劇団員さんたちのこと。
・桐生さんたち橋チームが、とにかく美味しかった。
・緋波さんは、やっぱりポーズの決め方やしなやかな動き一つひとつが丁寧で、上手。
腕の上げ方が、若手と全然違う。
・琴野さんの表情がかなり良くなったように感じた。
どこか強張ったような表情が少なかった。
そういえば、パンフレットの表情もいい感じになっている。
・楊さんを前面に出したいという劇団側の思いは分かるけど、
もっと今までに育ててきた他の若手劇団員を前に出すべき。
初舞台を踏んだばかりの楊さんには、少々荷が重すぎると感じることが時々あった。
大阪松竹という大きな舞台だからこそ、尚更だ。
・・・て、これは劇団側への意見だけど。
・こころちゃんの声が少ししゃがれ気味に聞こえたことが数回あったので、
頑張りすぎているのではないかと心配になった。
今回のこころちゃんポジションはかなりハードそうだから。ゆっくり休んでほしい!
(けど、5月の世界館があるんだよね)
場面によっては、桜が宙を舞うこともあり、
その桜が場面を更に美しく魅せてくれるのだが、
時々舞いそびれた桜が他の場面でひらひらと舞うことがあった。(第二部でも)
一片の桜が思いがけずに舞う情景が、儚げで切ない。
寂しくも美しく舞う桜には、愛しさを感じずにいられない。
桜の花は、明るさや暗さ、楽しさや寂しさ。
心の中にいろんな感情を起こさせてくれるものだ。
(結局、今回も臭っ)