総評として最初に書かせてもらうと、今までで一番充実した内容だったように感じた。
特に、クリスティーヌ役の木村さんが最高にハマっていたと思う。
佐野ファントムも、私としては言うことナシに素敵だったし。
その他のキャストについても、とても素晴らしい演技を魅せてもらったと思う。
では、各キャストさんについての感想を。
●クリスティーヌ(木村花代さん)
一目見た時から思っていたのだが、
宝塚で男役をされていた
真織由季さんに似てる。
(星組で90年代に3番手として活躍され、平成8年に退団された人です)
真織さん、大好きだったなぁ。
そして、前の2回でクリスをしていた西さん同様に、
背が高かったように思う。
スラーーっとしたスタイル。
クリスティーヌと並んでいる男優陣が、みんな圧倒されている印象も(笑)
頑張れ、ラウル。
まぁ、見た目はその辺りまでにしておいて・・・。
とても可愛らしく、若々しく、少女の無邪気さを持ったクリスティーヌだった。
特に、ファントムの仮面を取ろうとする姿が
「ちょっと顔見たいなぁー・・・
えーい、見ちゃえ☆ていっ!!」
という感じで、少女の旺盛な好奇心からのいたずらという雰囲気が出ていて、
妙にツボだった。
そして、時々何かに思い巡らせている時、もしくはボーっとしている時(?)に、
夢見ている雰囲気が出ているのが良い。
これは、可愛らしい容姿だからこそ、なせる技なのか?
それもあるかもしれないが、これも演技力があるからこそ出るものなのであろう。
声が綺麗。
そして、感情豊かな演技が素晴らしい。
中でも、『ザ・ポイント・オブ・ノー・リターン』での歌と演技は特筆に価する。
あの艶のある若い女性の色気、酔った後の少し挑発的な目線。
可憐さと色気のある女性を劇中劇で見事に演じきっている。
それが、その後のクリスティーヌ自身との対比が濃く出る効果にもなっている。
また、この美しく艶やかな女性の内には、
ファントムやラウルへの愛憎などの複雑な思い、
一体自分にはどのような結果が待ち受けているのかという先の見えない不安などが
絡み合っているのかと思うと、この演技を切なく感じる。
途中、ファントムだと気づいて我に返り抵抗するが、
ファントムの熱い歌声と歌詞に自分の歌声がシンクロし、包み込まれ、
それこそ文字通り「もう戻れない」と感じ、どうしようもなく彼に腕を引かれるという
あの短い間でのクリスティーヌの激しく切ない感情の動き。
それが伝わってきて、悲しさと感動が津波のように胸に広がっていった。
こんな素晴らしいクリスティーヌに出会えて、良かった。
見事に木村さんとクリスティーヌは、はまっていると思う。
また、木村クリスティーヌに会いたいな。
●ファントム(佐野正幸様)
いいね。
その渋さ。色気。
もう、いくつ私のツボを押さえれば気が済むのか。
やっぱり、佐野ファントムのこの苦悩の感情、切なさがたまらん。
ラストでの
【ファントムVSラウルVSクリスティーヌ
~三大歌手 地球最大の決戦~】の、
苦悩と悲しみと怒りとに満ちた表情、そう!!ソレがいいのよ!!
また、木村さんの感情豊かなクリスティーヌとの相乗効果で、
前述のノーリターンのところでのクリスティーヌとのデュエットや
ラストの3人対決のところの演技が、
一見「静」をも感じさせられる内面での激しい感情煮えくり返りやら、
かなり熱く激しく狂って怒って悲しんでいるやらと、
味わい深い感情が押し寄せてきて、圧倒させられた。
「おい~~でー エ~ンジェ~ルオ~ブミュ~ジィ~~
ック♪
ここ~~だー エ~ンジェ~ルオ~ブミュ~ジィ~~
ック♪」
が気にならないかと言われれば、
そ う で も な い 。 (爆)
語尾強調凄いねー。
まぁ、気になる人は気になるかも。
私は、いろんな意味で、
妙にツボです。
最近は、この
「ック」の底知れぬ魅力があるからこそ、
クリスティーヌはどんどんファントムに吸い寄せられているんじゃないかと思う次第です。
(絶対それはない)
●ラウル子爵(北澤裕輔さん)
あのギラギラの爽やかさ。 暑苦しいくらいの感情暴走。 つばきを飛ばすその勢い。
最初は、「コイツなんかテンション高すぎないか!?」と思っていたが、
北澤ラウルは3回目。今まで観たラウルは全部北澤さん。
ということで、
慣れた。
いやー。
その暑
苦しさが、なんか「ラウルがキタ!!」と思わせてくれて、安心するわ。
王道王子・北澤ラウル様。
あの妙な
空回り風のハリキリ方と、ギラギラ
しすぎな爽やかさが素敵。
でも、あの熱さがあるからこそ、
佐野ファントムとの対決が更に激しいものになっているのだと思う。
●ムッシュー・アンドレ(寺田真実さん)とムッシュー・フィルマン(小泉正紀さん)
本当にナイスコンビ。
阿吽の呼吸で、素晴らしいやり取りと歌唱の連続。
小さいアンドレと大きいフィルマンの体型の対比もいい(笑)
小泉フィルマンは、そんなに芸術には興味がない様子で、偉そうでふてぶてしい。
最初の方でカルロッタに拍手をするところなんかは、
「あーはいはい上手ですねー」と適当な素振り。
柔らかくて深みのある低い声が魅力的。
寺田アンドレは、態度がふてぶてしいフィルマンのフォローをしたり、なだめたり、
時に舞台や音楽にのめり込むような様子を見せたりという
細かい芝居一つひとつがとても面白い。
カルロッタの声が出なくなった後、その間を持たせるためにバレリーナーを呼んだ後に
バレリーナーに巻き込まれて、苦笑いポーズし、逃げるように去っていくところなんか
非常に可愛くて大好きだ。
そして、この二人が歌う『プリマ・ドンナ』が最高!!
最初の方の歌詞、「世界中が~~あなたを~~~♪」
からのカルロッタの機嫌を直すための作り笑顔が、可愛い(笑)
その歌の途中、「女はやっかいだ」などの歌詞で、
すんごい嫌そうな顔をしているのも、可愛い。
とにかく、この二人が醸し出す可愛くて面白い雰囲気が魅力的すぎる。
大好き。
●ムッシュー・レイエ(立岡晃さん)
この人が素晴らしかった。
歌はないし、どちらかというと脇役的な人なのに、この存在感って!!
今まで、こんなにレイエを意識したことはないぞ!!
ムッシュー・レイエは毎回観る度に違う人がやっているんだけれども、
今回の立岡さんのレイエは私の中でベスト。
すんごい味のあるおじいさまで、とにかく存在感が凄い。
見た目も、職人・・・というか、匠っぽいお顔、お姿で、すごくいい。
芸術に対して真剣で、ものすごく熱くて、指導にも熱が入っていて、
世話焼きじい的(?)存在。
厳しいというよりも、
「自分の思っている芸術とは、こうなのですよ!さあ、やってみましょう!!」
と役者たちに熱く明るく語りかけているように感じた。
また、独特の柔らかい雰囲気があり、
クリスティーヌと楽譜を見ながら確認するシーンでは、とても優しい印象を受けた。
クリスティーヌを見る目がすごく優しくて、
この人は本当に芸術が大好きで、
クリスティーヌの才能をとても喜んでいるのだということを感じさせられた。
役者が間違ったことにイライラと怒って叱りつけるのではなく、
「こうすればいいんですよ!」と前向きに役者と芸術を見つめるレイエ。
この立岡レイエが【レイエ】らしいのかどうかは、正直私には判断しかねるが、
あるべき指導者の姿を感じさせられて、個人的にはこの立岡レイエが大好きなのだ。
●カルロッタ(諸英希さん)
とことん歌が上手だった。
本当にうまい。
●メグ・ジリー(宮内麻衣さん)
可愛らしかったとは思うんだけど・・・。
すみません、あんまり印象に残ってないです。
(感想書くのが遅くなったせいだろ自分)
●マダム・ジリー(秋山知子さん)
背が高くて、がっちりしていて、たくましいマダムジリーだった。
雰囲気がすごく落ち着いて、冷静沈着という感じで、
歌も低音の美しい響きを聴かせてくれた。
冷静ではあるが、ファントムとの対決を避けさせようとする歌詞では
激しい感情がむき出しになり、その感情の動きに心揺さぶられる。
一体、彼女のファントムへの思いとは、如何なるものなのか。
怖れ? 哀れみ? それとも愛おしさ?
マダムを見ていると、マダムの中にある感情をもっと感じたくなる。
個人的には戸田愛子さんのマダムが大好きだったけれど、秋山さんの声もいい。
総合的に、非常に美味しかったです。
とにかく、ごちそう様でした。
[2回]
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